かみ合わない日常(永遠に暫定)

やってくるこの毎日が、人生だと知っていたら!

妄想de人生の彼岸

午睡の昼下がり。崩れてきたゴミを抱いて寝るような生活。
刹那、チャイムを鳴らす音。
親に暴力を振るわれて、行き場のない少女が助けを求めて・・・とか、
デリヘル嬢が部屋を間違えて・・・とか、
そんな都合のいい妄想よりも先立つものは、
産○新聞の勧誘か、NHKの地域スタッフか、エ○バの証人か。

一縷の希望と共にドアスコープを覗くと、緑の制服を着たヒト
「現金書留だったんですが・・・お留守ですか」
こんなボクに金を恵んでくれるヒトが居るのか、にわかに信じられずに
でも、印鑑が見つからない
「サインでいいですから」
結構な厚さの封筒、差出人は・・・なんと、郷里から

「だから、家賃はどうにかなるんだって」
「大変だったんだろう。コレ払って、帰ってらっしゃい」
そうじゃない、そうじゃないんだ。
「とにかく、コレはいらないから。明日にも振込するから」
「こんなことでもなきゃ、母さんのへそくりなんて、使うときがないでしょ。
元々なかったもんだと思えばいいから。いざというとき使いなさい」
「ああ・・・」

重苦しい気持ちで、受話器を置く。
ボクはその期待には応えられないし、もう、そんな気持ちすらない
ただ静かに余生を過ごしたいだけなんだ。枕元で、少女の歓声を漏れ聞くような
そんな、彼岸の人生。

封筒を開ける、皺くちゃの福沢諭吉が、最後のほほえみをボクにくれた。

(と)