かみ合わない日常(永遠に暫定)

やってくるこの毎日が、人生だと知っていたら!

Recycle de 七夕

愛おしいという気持ちに縁がない。
どんなに頑張っても実家の猫ぐらいですかね。
他人のルサンチマンの匂いを嗅ぎ出すことは得意だが(-_-;

どこまでいっても、ボクは、ボクでしかないし、
他者を了解するコトは、本質的に困難であるのに
世相の暗黙規範に盲目的追随する輩たちに、吐き気を覚える。
ささやかな幸せの中に埋没することを拒絶し、久しぶりの残業は、
いつの間にか最後の一人となってしまった。

「やれやれ」
おもむろに、紺色の街並みを望む窓を開ける。
騒々しい雑踏と、アスファルトから立ち込めるもんやりとした大気。
空を見上げると、今にも降り出しそうな空。
「七夕は旧暦通りの方が良いなぁ、梅雨時にやっても星なんか見れん」
ふと、川沿いの道に視線を移す。
柳の木に、なにやら短冊がぶら下がっているのが見える。

「せめて何かを願わなければ、何も実現することは無い、か」
机に散らばった見積書を一枚手に取ると、長方形に引き裂き、
黒いマジック―――それしかなかったし―――で、書き殴る。
疲れた身体を引きずり、帰りしなに短冊をぶら下げる。

<i>かなわなかった願いさえも、あいかわらず同じ姿で僕に手を振っているよ
悲しみは悲しみのまま、喜びは喜びのまま 僕だけがいない</i>

そう、この願いが叶うか叶わないか、そんなコトは大した問題じゃない。
ボクはもう、ボクじゃないから。
エポケーした途端、世界がありありと輝き始めた。

(と)