満たされない、満たされない、満たされない・・・
欲望に充足はないとは、よくいったものだ。
どうしてボクのココロは、こんなにスカスカなんだろう。
前向きな努力をする前段階で、向上心が漲っているならまだしも。
成功など欲さずに、この渇いた気持ちを、一瞬だけでも潤す何か・・・
わからない。
ボクは本当に、必要なのだろうか。
それなりに努力はしているつもりだ。評価されなくとも、人並みではありたいとは思っている。
しかし、何かが足りない。他者から見てそれは、
見苦しい努力
くらいにしか映らずに、けど、妄念めいた希望は捨てられずに・・・
もういい、うんざりだ。
こんなに無理して、築き上げてきた楼閣は、ボクが空を飛んでも、誰にも振り向いてなんてもらえない。
せめて今夜くらいは、ボクが主役でありたい。
金だ、そう。カネ。虚栄心を満たすのは、こんな俺繋ぎ止めるものは、金しかない。
ぼんやりと、薄暗い光の中、上下に動く物体を眺めていた。
汚らしい。ボクがこんなことがしたくて、存在しているのか。
欲望とは、こんな低廉なものだったのか。
腹立たしくなる。
「ん?」
思い切り、奴の頸に手を掛けた。
「うっ・・・ううう」
ニワトリみたいな声を出し、奴は事切れた。
クダラナイ。こんな奴のために、ボクの人生を無駄にしたくなんて、ない。
少しだけ、ささくれ立った気持ちも和ぎ始めたころに、ボクを狂喜させる光景が拡がる。
「一緒に、おじさんの家に帰ろうか。金なら、あるからさ」
少女は泣き止むと、無言で頷いた。
雪はまだ、降り続いていた。
(と)