かみ合わない日常(永遠に暫定)

やってくるこの毎日が、人生だと知っていたら!

妄想タイフーン

割と明るめの空に、激しく叩きつける雨音で目が醒める。
「お台場は晴れ渡った空で・・・」と、恨めしく。
寝惚けた頭で、いつもより薄い新聞に目を通し。占いも最下位だし、別にこんな日に仕事しなくても・・・と思いつつ、段取りしかけたところに電話が入る。

「中止ね」

少し安堵しながら、相変わらず痛みの走る全身は惰眠を欲して布団へ誘う。
こんな日は、何も考えずに寝るのが得策。
「お金が欲しいから」などと、資本主義の尖兵と化した低能な輩は、敢えてこんな日に戦場へと赴くのだ。浮世の莫迦は、起きて働く。

昼も2時を過ぎようかという頃になって、徐に重い腰をあげる。
こんな日に愉しみを見出すとしたら、あれしかない。
台風の凶暴性の本質に迫るべく、バスに乗って街に出ることにする。
折りしも下校時間とあってか、やや遅れ気味に到着したバスは女子校生を満載して。
無遠慮に車内で携帯片手に嬌声を発する集団を潜り抜けると、少し前方へと強引に詰める。

眼前に迫る濡れたブラウスと、雨と肌が織り成す香りのハーモニー。
ボクに残された僅かな理性は、その甘美な空間の前に脆くも崩壊した。
ヒトが犯罪者に成り下がるのに、その動機を問い詰めることの無意味さを痛切に感じた、そんな日。

(と)