かみ合わない日常(永遠に暫定)

やってくるこの毎日が、人生だと知っていたら!

最終のバスが通り過ぎても、見つけられなかった

疎らな乗客、暗い電灯。
窓ガラスに、もう若くはないボクの顔を見る。
どこか疲れた表情を浮かべた人々が、虚ろな目をしてテレビを眺める。
この光景を、どこかで見た気がする。
そう、昼下がりの、精神病棟で。

覇気なんてない。
社会が要求する水準に、無理矢理にでも合わせようとする歪みが、
この吹き溜まりで、無防備になる。
ひたすら、メールを打ち続ける少女。定時制帰りの勤労青年。
ボクは、何を失ってしまったのだろうか。

21時44分、バスの扉は閉まり、電気は消える。
乗り遅れたボクは、虚空を見つめた。
…また、雪が降り出した。

(と)